あっちぃーー! いやー暑いっすねー。すっかりビールがおいしい季節になっちゃいましたけど、ビールをさらにおいしく飲むには、やっぱりうまいツマミが必要なわけで……。ビールの相棒といえば何だろう? 枝豆? 冷奴? から揚げ? もちろんこちらの方々も優秀な相方ですよ。でもね、ビールの本場ドイツといえば、やっぱりソーセージでしょ!ということで、今回はソーセージ作りの達人、友松すのこさんに自家製ソーセージの作り方を教えてもらってきました!
こちらが友松すのこさん。
もともと趣味でソーセージ作りを始めて、それをキャンプで振るまっていたところ、その味がキャンプ仲間から評判を呼び、今では赤城山キャンプ場を始めとするキャンプ場や飲食店のワークショップイベントで講師を務めるほどになったのだとか。すのこ先生、本日はよろしくお願いしまーす!
皮に使うのは市販されている羊の腸
「今回は初心者の方ということで、簡単にできる生ソーセージを作ってみましょう」
――生ソーセージ?? 初めて聞いたんですけど、どういうものなんですか。
「羊の腸に肉詰めしたあと、ボイルせずに生のものをそのまま焼いて食べるソーセージのことですよ」
――なるほど! まずは材料から教えてください。
- 豚ひき肉 200g
- 氷水 50g
- A 塩 小さじ1/2
- A 砂糖 小さじ1/2
- B 粗びき黒こしょう 小さじ1/2
「今回、ソーセージを詰める羊の腸は、羊腸規格で“2022”という、太さ2~2.2㎝のものを用意しました。ひき肉200gに対して、1mぐらいの腸を使います」
――これが羊腸ですか。へぇー、初めて見ました。でもこれ、簡単に手に入るんですか?
「ええ。インターネットの手作りソーセージ道具専門店では、2m単位から売っていますよ。ちなみに僕は、パクモグドットコムで買っています。ソーセージ用のスパイスもこちらで揃えられるので、オススメ。羊の腸はこうやって塩漬けになって売っていることが多いので、まずはボウルに出しましょう」
「羊腸を使う分よりも長く買ってしまった場合は、このように手でひっぱって、今回使う1mぐらいの長さで、調理用ハサミで切ってください」
ビローーーーーーン!
――うわっ、伸ばすとこんなに長くなるんですね。ビックリ!
「使わない腸は塩漬けのまま袋に戻して、空気を抜いて冷蔵保存すれば、半年はもちますよ」
――なるほど。それはありがたい!
「まぶしてある塩を取り除かなければならないので、まずは羊腸を入れたボウルに水を入れて、やさしく洗ってあげてください。その水をいったん捨てたら、再びボウルに水を入れて、しばらく羊腸を漬けておきましょう」
こ、これはカエルの卵!?
……ではありません!水に浸した羊の腸ですよー。
肉は手早くしっかりこねる
「次は、ひき肉をこねていきます。ひき肉を扱う注意点としては、直前まで冷蔵庫で肉を冷やして、10度以下の温度でこねるのが理想的です」
「手の熱で肉が温まるのをなるべく防ぎたいので、肉を入れるボウルを二重にして、下のボウルには氷を入れて、冷やしながらこねましょう」
――やっぱり熱が大敵なんですね。
「そうですね、肉はなるべくフレッシュな状態がベストなので。大きめのボウルにひき肉と材料Aの塩、砂糖を入れたら、氷水を少しだけ入れます。まずはやさしく肉を握りしめるようにこねていき、徐々にスピードアップ。氷水を少しずつ足しながらこねて、粘り気とやわらかさを出るまで繰り返しましょう」
「こねていくと、赤みがかっていた肉の色が、ピンク色に変化していきます。このとき、こね方が足りないと、できあがりの触感がハンバーグのようになってしまうので、とにかくここは念入りにこねましょう」
ーーはいっ、気合ですね。ここ重要。みなさーん、蛍光ペンでライン引いてくださーい!
「あ、そうそう。氷水は全部使い切らずに、このぐらい取っておいてください」
――え、なぜですか?
「このあと、味を決めるスパイスを混ぜるんですけど、さらにこねるときに、残った氷水を使うからです」
――ふむふむ。
「肉をよくこねたら、材料Bの粗びき黒こしょうを入れて、そこにさきほど残した水を足し、ふたたびよくこねましょう」
こねて~♪ こねて~♪ よくこねて~♪(メロディ目分量)
もひとつおまけに~♪ よくこねて~♪
これでソーセージの中身作りは完了!
いよいよお肉を羊の腸に詰めていく。
「次は羊腸に肉を詰める作業です。今回使用する絞り袋がこれ」
――へぇー。なんだかケーキの絞り袋みたいですね。これ、どこで買えるんですか?
「Amazonでも、東京ハンズでも売ってます。価格はたしか1,700円ぐらいだったかな」
――ソーセージを作るには、専門的な道具がいろいろ必要なのかと思っていましたけど、意外とお手頃価格で道具が揃えられるんですね。
「そうなんですよ。ソーセージ作りと聞くと、ハードルが高く感じる人が多いみたいですが、全然そんなことないんです!」
――絵柄もかわいいんで欲しくなっちゃいました。
「ではまず、絞り袋の中から口金をセットします。買っておろしたての状態だと口金が入らないので、絞り袋の先端をハサミで少し切りましょう。このとき、切りすぎには気をつけてください」
「絞り袋に口金をセットしたら、こねた肉をボウルのふちにペチーンという音が出るくらい何度も叩きつけて、空気を抜いていきます」
――ペチーン! ペチーン! ペチーン!なんかこの音、気持ちいいですね。
「絞り袋を少し折り曲げて、空気を抜いた肉を入れましょう。すべて入れたら、折り返した袋を元に戻しておいてください」
「次は、口金に羊腸をつけていきます。まず、水につけた腸の端っこを探したら、そこを少し開いて、水道水をゆっくり入れていきます。すると、風船のように腸が少しずつ膨らんで、そのあとの作業がやりやすくなります」
「羊腸の端っこを開いて、口金にはめます」
「ひたすらはめていき……」
「羊腸を口金のほうにたぐり寄せるようにして、1m分すべてをはめてしまいます」
「羊腸をすべて口金にセットしたら、絞り袋のおしりをねじって、うしろから肉を1㎝ぐらい押し出します(出した分の肉は切って捨てる)。これは、空気を抜くために必要な工程なんです」
――なるほど。あせっていきなり絞り出しちゃダメなんですね!
「肉を出したあと、羊腸を少しだけひっぱり、先端に結び目を作ります」
――おおー! いよいよ肉詰めですね!
「はい。ゆるんだ羊腸を再び口金側に軽く引っ張ってピッタリとさせたら、絞り袋のうしろから力を入れて、羊腸の中にゆっくりと肉を押し出していきましょう」
ニュルルルン!
ニョキニョキ……
「羊腸に肉を詰めるとき、パンパンにしすぎると、あとでソーセージがはじけてしまいます。手で弾力を確認しながら、少しずつ肉を詰めましょう」
ぐるりんちょ!
「用意した肉をすべて腸に詰めたら、少し余裕を持たせて、反対側も腸をギュッと結びます」
――うわー。なんか、ゴールが見えてきましたね。
「さあ、次はソーセージを食べる長さにねじっていきますよ!」
――はーい!
「こうやって、ねじりたいところを両手でつまんで……」
「手前から撮影するとこんな感じです。このとき、今両手で持っている端から2つ目の塊を、1、2、3回転してねじります」
――わっ! 一度ねじったら戻らないんですねー。すごーい!
「これと同じ要領で、次のソーセージのねじりたいところを両手で持ち、ふたつめの塊を3回転ねじる。これを繰り返してください」
ジャーーン!!
――本物のソーセージやないかーい!マジで感動です!
「ねじったところに料理バサミを入れて、切っておいてください」
生ソーセージをジューシーに焼く!
「最後に、ソーセージを焼いていきましょう!」
フライパンで焼くんですか?
「いいえ。ボイルしたソーセージをソテーするときにフライパンを使うのはいいんですが、生ソーセージの場合、せっかくの羊腸がフライパンにこびりついて、やぶけてしまう場合があるんです。だから、家庭で焼くときは、魚用グリルを使ってください。キャンプのときは、炭火でじっくり焼いてもいいですよ。グリルや炭火で焼いた場合、皮が乾燥して歯ごたえもパリッと良くなるんですが、残念ながらフライパンではそうはならりません」
――へー。そうなんですね。ソーセージはフライパンで焼くものだと思い込んでました。
「魚用グリルには、水は入れなくても大丈夫。ソーセージを網の上に並べて、中火でじっくり焼いていきましょう。焦げ目がうっすらつくぐら いが、ちょうどいい頃合いかな。うちのグリルは両面焼きタイプなので、だいたい15分ぐらいで焼き上がりましたが、片面焼きグリルの方は、片面ずつ焼き加 減を見ながら焼いてみてくださいね」
ついに完成!
ドドーン!
――やったー。パチパチパチ。手作りだと、この瞬間が感動的ですね!
――わー。おいしそーー。ヨダレが止まりませんっ!
「保存料や発色剤などの化学物質は一切使用してないので、市販のソーセージより白っぽく仕上がるんですよ」
――ホントだー。この白さが手作りの証拠なんですね。では、すのこ先生、さっそく食べましょう!
「じゃあまず、ビールをひと口。ソーセージには、やっぱりビールですよね~」
……もったいぶらずに、ソーセージいっちゃってくださいよ~!
「うまいっ! 自画自賛で申し訳ないんですけど、おいしいです!」
――じゃあ、ワタクシもちょうだいいたします! うわっ。市販のソーセージと全然ちがう! 自家製ソーセージのほうが、肉の旨みをより強く感じますね! まさか自分でソーセージを作れちゃうなんて、昨日まで思ってもなかったな~。本当に感動しました。
2年前に出会った自家製ソーセージが人生を変えた!
――ところで、すのこ先生はいつからソーセージ作りにハマったんですか?
「じつは、2年前からなんですよ」
――えーー! それで今ではワークショップで先生だなんて、すごいですね!
「しかも僕、もともと肉が嫌いだったんです」
――えっ、言ってる意味がわからないんですけど……。
「いやね、肉が嫌いだから、そもそもそんなに食べてなかったんです。でも、友人が振る舞ってくれた自家製ソーセージがあまりにもおいしくて、“これなら俺も食べられる!”って感動して」
――たしかに私も今日、めちゃめちゃ感動しましたもん!
「それから1年ぐらいは、肉の専門書を読みあさって、自家製ソーセージをさらにおいしく作る方法を試行錯誤しながら研究してました。この2冊は、肉を知る上ですごく参考になりましたね」
――(本を開いて)これ、なんだかすごく難しそうですね。失礼ですけど……楽しいんですか?
「ええ。めちゃめちゃ楽しいですよ。たぶん、ソーセージ作りって、凝り性の男性向きなのかもしれませんね。自分で工夫する余地がたくさんあるから、おもしろいんですよ」
――では、現在はソーセージを通して、どんな活動をしているんですか?
「群馬県にある赤城山オートキャンプ場で、不定期にソーセージ作りのワークショップをやらせていただいています。あとは、依頼があればほかのキャンプ場や飲食店などでワークショップを開くこともありますね」
――キャンプ場でソーセージ作りだなんて、楽しそう!
「今年は朝の情報番組『ZIP!』でキャンプをしながらソーセージ作りをする様子を取材してもらいました」
――ソーセージを作っていて、いちばんうれしい瞬間っていつです?
「いちばんうれしいのは、子どもたちが楽しそうにソーセージを作ってモリモリ食べてくれることかな。家族でも楽しめるので、みなさんもぜひトライしてみてください!」