2022年3月9日 更新

3.11「東日本大震災」から11年...あの日の記憶から何を伝えられるか

東日本大震災から歳月を重ねるごとに震災を体験した私たちの生活は新しい環境へと変わってきました。しかしその日から刻んできた記憶を消し去ることはないです。毎年3.11が近づくと心がざわつきます。その一方で社会の震災に対する思いは風化が懸念されています。東日本大震災を体験した私たちの言葉が、これから予想される南海トラフ地震、首都直下型地震などに少しでも役立てていただければ幸いです。

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住むところを失った人たちの為に、震災後1~3か月でたくさんの仮設住宅が建設されました。子供たちが遊ぶ場所、スポーツ団体が練習する場所が制限されてしまいましたが、公園や野球場、運動場を利用して市内の至るところに建てられました。

石巻市内には被災市町で最大の134団地・7153戸が建設されました。


家族の捜索、いろいろな手続き、職場の再開、避難所での慣れない生活に疲れ果てていた私たちにとって、プライベートが守られる仮設住宅への入居はとてもうれしいことでした。

仮設住宅にはエアコン、洗濯機、テレビ、冷蔵庫、炊飯ジャー、電子レンジ、ガスコンロ、湯沸かし器、キッチン用品、寝具など生活に困らないものがすべて無償でそろっていました。

プレハブなので夏は暑い!冬は寒い...
そこをどうやって快適に過ごすか工夫するのも楽しみのひとつとなっていきました。
わが家が入居した仮設団地は、コミュニティの維持に配慮されて震災前と同じ地域の顔見知りばかりだったので安心できました。
気心が知れた人たちと悲しみを分け合い、励まし合い、助け合い、お互いに前を向く決意の始まりの場所となりました。

玄関前の通路に花のプランターを置く人、ペットを飼う人、小さなビニールプールで水遊びする子供たち、昼間は車が少ない駐車場で自転車の練習をする子、集会場ではボランティアさんがイベントを開催して寄り添ってくれ、おばあちゃんたちはお菓子や漬物を持ち寄りお茶のみ会。
みんな徐々に日常を取り戻しながら笑顔が増えていきました。

復旧復興

職場が建設業でしたので復旧復興の様子は身近にわかりました。
がれきの撤去、切断された道路の復旧、津波で流された橋の復旧、新しい防波堤、津波で海塩が浸水した田畑の復旧、新しい宅地となる土地の造成、堤防のかさ上げ。

工事が進むに連れ、住んでいた地域は震災前の面影がなくなるほどに新しくなっていきました。これまでの地域の特性がなくなっていく気持ちになり、仕事として工事はするけど変わっていく地域の姿に社員の気持ちは複雑でした。
復旧復興工事は進んでも心の穴は埋められませんでした。
がれきの撤去

がれきの撤去

職場の仕事の再開は、悲惨な現場でのがれき撤去、人命救助・捜索からでした。

災害に強いまちづくり

膨大な範囲に及ぶ復興工事

膨大な範囲に及ぶ復興工事

とはいえ復旧復興工事は将来の財産。壊れた石巻市を復興するには災害に強いまちづくりを目指さなければなりません。

被害が甚大だった石巻市には復興の課題がたくさんありました。
市内全体の復旧工事、くらしの拠点整備、住まいの再建、産業の再生、教育・文化環境の再生など。

10年を過ぎた現在、くらしの拠点整備、住まいの再建等の事業は完了をしましたが、河川堤防・道路・橋・下水道の復旧工事、産業の再生、災害に強いまちづくりはまだまだ続いています。

復興のシンボル

先にお話した仮設住宅には、石巻市で最大1万6788人が暮らしました。
2020年1月17日に最後の入居者が退去して、すべての仮設住宅が解体されました。

仮設住宅が並んでいたその場所は、震災以前の公園、運動場、野球場に再整備され、新しい石巻のシンボルも誕生しました。
石巻市の新しいシンボル「マルホンまきあーとテラス」誕生

石巻市の新しいシンボル「マルホンまきあーとテラス」誕生

石巻市が東日本大震災からの復興のシンボルとして整備を進めてきた、複合文化施設「マルホンまきあーとテラス」が2021年4月に開館しました。

文化・芸能の発表やコンサートが開かれる大ホールと石巻地方の美術・民俗資料・文化遺産の収集、保管、展示をする博物館機能を融合させた施設です。

家の形や煙突形の建物が横一列に並んで、白い家並みのような外観がかわいいです。
マルホンまきあーとテラスの夜景

マルホンまきあーとテラスの夜景

真っ白な建物に夕暮れオレンジ色の灯りが。私はこの光景が好きです。
「世界最長875・47m」石巻魚市場

「世界最長875・47m」石巻魚市場

石巻市は漁業が盛んなところです。
津波で被災した石巻魚市場が2015年9月「世界一長い魚市場」として生まれ変わりました。

ギネス世界記録にも認定されましたよ。
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